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By the hill

都市の喧騒と自然の静寂、その両方を行き来しながら、
自分らしさを見つけていく一人の女性の姿。
その象徴として俳優 松浦りょうをミューズに、
八ヶ岳を舞台にした2025AWコレクションのフォトストーリー
























































Interview with Ryo Matsuura


都会と自然を行き来する、しなやかで強い女性像

「演技の仕事では、気を張っている瞬間が多いんです」。そう語る彼女が、ふと笑顔を見せたのは、最近プライベートで訪れたというお花見のエピソードだった。聞くと都会の中での自然との出会いを大切にしているらしい。

「自然に触れる時間、もしくは自分が“自然体”でいられる人との時間を意識的に取るようにしています。張り詰めた意識をリセットする感覚に近いですね」。
仕事での緊張感や責任感が強くなるほど、彼女は“ゼロに戻る時間”を大切にしている。自然と接することも、その一つの方法だ。実は、自然を身近に感じるようになったのは仕事を始めるようになってからとのこと。「昔からそうだったわけではなくて、むしろこの仕事を通じて見つけた、バランスを保つための手段なんです」。

撮影の合間にも周囲に気を配り、現場をスムーズに進める能力に長けた彼女だが、最近は“気を遣いすぎない”という意識も持ち始めているという。「好きなものを好き、苦手なものは苦手とちゃんと主張すること。周りに流されすぎないこと。様々な影響を受けやすい仕事ではありますが、自分が心地いいと思える環境に身を置くには、それを自分自身が作り出していかないといけない。その為には、強さを持っている必要があると最近よく感じます」。

彼女が語る“強さ”とは、誰かに勝つことでも、見せかけの自信でもない。自分と丁寧に向き合いながら、自らの意思で選択し、進んでいく力だ。フリーでの活動を経て、その想いはより確かなものになったという。「自己成長のために事務所を離れた時期があって。すごく大変だったけど、いい意味でも悪い意味でも様々なものが鮮明に見えた。その経験が、今の私の軸になっています」。

ファッションという表現についても、彼女の視点は変化してきた。
「昔は、コンプレックスを気にしたり正解を求めすぎて、素直に楽しめていなかったのかもしれません。でも今は、無理に背伸びしなくても良いものだと感じられるようになりました」。

撮影の現場でも、今の彼女は“ありのまま”で臨むことができているという。そこには、作り手と同じ熱量で、作品と向き合う姿勢がある。

「心から“やりたい”と思える作品に真摯に関わっていたい」
それが、表現を生業にし愛する彼女の、今の想いだ。

都会でしなやかに働き、自然の中で深呼吸しながら、また次へと進んでいく。
松浦りょうが体現するのは、“強く、自然体で生きる”という、現代の女性の在り方なのかもしれない。


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俳優
松浦りょう まつうら りょう 
徳島県生まれ。2014年に映画「渇き。」でデビュー。主な出演作に、映画「眠る虫」(2020年・初主演・MOOSIC LAB2019長編部門グランプリを獲得)、映画「赦し」(2023年・主演)、Amazon「あるいは、ユートピア」(2024年)、映画「オン・ア・ボート」(2024年)TX「夫よ、死んでくれないか」(2025年)に出演。2025年11月に舞台・竹生企画「マイクロバスと安定」に出演予定。Instagram @ryomatsuura
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Photographer. Sophie Isogai
Model. Ryo Matsuura
Stylist. Kazami Ohsawa
Hair. Satomi Suzuki
Make. DAKUZAKU