戦争、天災で、多くの尊い命や古き良き街並みが失われていくことに、人々がちくちくと心を痛め続けている昨今。
そんな今の時代の衣服を創る仕事をする人間として、leinwändeデザイナーは、ファッションは日常に寄り添いながらも、少しでも気分を上げてくれるような、生活の中の彩りであるべきであると語ります。
そんなフィロソフィーのもと、
2024 A/WCollectionのシーズンコンセプトとなったのは、何か、日本や世界の人々共通の「ちょっと心が暖かくなるもの」。
切り絵、コラージュ、折り紙、あやとりなど、様々なちょっと懐かしいハンドクラフトにインスパイアされたディテールが散りばめられました。
気づいたときには、切りっぱなしやフリンジなどの手仕事によって生み出されるディテールが好きだったというleinwändeデザイナー。ロンドンのアートスクールでは、綺麗に仕上げた絵の上から絵の具をぶちまけたり、利き手とは反対の手で描くことでユニークさやオリジナリティを出したり、実験的なことから生まれるクリエイティブの面白さを学んだと言います。
2024 AW Collcetionでもキーエッセンスになるのが、切ったり 貼ったり、溶かしたり、解いたり、 一度作ったものを上から思いっきり汚したりして生まれた、きっちりしない愛らしさ。
従来ブランドの持つ、伸び伸びとしたデザイン工程の「遊び」や「大胆な自由さ」みたいなものをもっとわかりやすく感じてもらえたらと思いながら制作したシーズンです。
大胆に花びらを切りっぱなして、まるで紙遊びをしているかのように形成されたデザイン。貼り絵や影絵のような美しさをもった1枚に。
あやとりがのびのびと変幻自在に形を変えていくように、華奢なケーブル柄が自由なカーブを描いて ボディーをゆったりと駆け巡るようなシアートップス。ローゲージの太い糸で編まれることが多いケーブル編みをハイゲージのシアー糸で編み上げることで、他にない美しく繊細なケーブル模様を表現しました。
ジェントルで、ユニセックスなテーラリングアイテムも。
「紳士的だけど女性的」、「フォーマルさがありつつもクラフトの暖かみを感じる」対比するようで共存するleinwändeのタイムレスなキーワードも表現しています。
生地の端を切りっぱなしにすることで、フォーマルとクラフトが共存する4ピースのテーラーリングスーツ。
今季はヘリコプターシードと呼ばれるカエデの木の種子をメインモチーフに。
イギリスでは、日常的に目にすることが多く、公園やお庭の色が変わるほど大量に降ってくるんだとか。切り絵や影絵のような見た目がシーズンコンセプトを想起させるだけでなく、くるくる回りながらできるだけ遠くへ種を残すべく飛んでいくヘリコプターの姿がとても愛らしく、デザイナーのイギリスの初秋のお気に入りの植物の一つです。
ヘリコプターシードのデザインを水面の柄と融合しラフなタッチで仕上げたパターンを、日本の和紙を贅沢に貼り付ける特殊なプリントで表現。幼き日の折り紙の感触や葉っぱ遊びの思い出が蘇ります。
あやとりを想起させる編み地とヘリコプターシードにも、新芽にも見える耳当てモチーフに、なんだか心が踊る、手編みのニット帽。
纏うことで、穏やかに、でもどこかワクワクする2024 Autumn / Winter Collection。このCollection Storyから、さらなる2024 Autumn / Winter のDesign Storiesが始まります。
次回もお楽しみに。